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公団訴訟、その後
小栗 夏生(2003年記)

3年前の常磐木で、住都公団からマンションを購入した人たちが、販売価格が高すぎたなどを理由にして損害の賠償を求めて訴訟を提起した件についてお書きしました。
 先日、この事件の控訴審判決が出ましたのでその内容をご報告します。

 結論だけ申し上げますと、一審に引き続き、二審も住民の訴えは退けられました。裁判所の姿勢は、民間業者の物件より高額であったきらいはあるが、住民らは他の物件も比較した上で納得して購入している以上やむを得ない、という論調です。

 しかし、この訴訟で住民らが問題としているのは、単に公団の価格設定だけではありません。価格の点以外にも、以下のような公団の販売手法を問題としました。具体的には、@抽選倍率を実態より遙かに高く表示していたことがあります。これは、以下のようなからくりによって行われました。たとえば、公団が発行する「特別住宅債券」というものを購入していた人や、今まで多数回公団の抽選に漏れた人を、そうでない人と比べて、5倍、10倍と優先して抽選に当選しやすくするという制度があるのですが、ある住戸に2人応募した場合もで、2人とも10倍優先されている場合には、倍率を20倍と発表していたのです。実際は、1戸の住戸を2人の人が希望していたわけですから、2倍であるのに、公団の発表では倍率が20倍であったということになっていたのです。当選者は、20倍という難関を突破した、またそれだけ多数の購入希望者がいると誤解し、多少高いと思っても、今回買わなければ次はいつ当選するか分からない、と誤解してしまったのです。また、A同一のマンションを複数回に分けて分譲を行った際、1次販売で多数の空き住戸が発生しているにもかかわらず、それを伏せて、その後も「抽選」を実施し続けていたのでした。
 この点についても、裁判所は、公団の損倍賠償責任を認めませんでした。しかし、その販売手法に対しては、厳しく批判しました。以下、控訴審判決を引用します。
 「多数の空き住戸が生じながら、なお抽選を実施することは、応募者に対し、存在しない競合者が存在するかのように誤解させ、必要以上に購入意欲をそそるものであることは疑いなく、商道徳にとらわれない者がするのであればともかく、公団の性格を考慮すると、いかにもいかがわしい販売方法といわざるを得ない。」

 裁判所が、ここまで公団の手法を批判しながら、その法的責任を認めなかったのは残念です。本件は、現在、最高裁判所に上告中です。上告審では、この「いかがわしい」行為に対して公団の責任を求めてゆきます。

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