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個人再生手続
小栗 夏生(2001年記)

2000年4月、民事再生法が施行されました。これは、倒産状態となった会社を清算することなく存続させるというものです。デパートのそごうが民事再生手続を利用したことから御存知の方も多いと思います。

そして、2001年4月、民事再生法が一部改正され、個人再生手続がはじまりました。これは、民事再生手続が主に中小以上の規模の会社等を対象として規定されていたために、サラリーマンや小規模の事業者が簡単に利用できるようになったものです。

従前、我々弁護士が、個人の債務整理の相談を受けた場合、選択肢としては①任意整理、②自己破産のいずれかでした。

任意整理とは、契約に従った返済は不可能であるが月々の支払額を引き下げれば返済は可能である場合、その支払い可能金額の枠内で債権者と和解をし支払を続けるというものです。そして、その和解の中で、契約上の金利が利息制限法(通常18%程度)を上回る金利であったばあい、それまでの取引経過を見直し、利息制限法の利率で計算し直して現在の残額を決めます。また、原則として、弁護士が代理人に就任した後の利息は、支払いません(その時点での残高が20万円であれば、20万円を分割して支払う)。

自己破産とは、債務者の財産・収入ではもはや返済はできないという場合に、その旨を裁判所に申し立て、破産決定・免責決定を受けるというものです。免責決定を受ければ返済義務はなくなります。

任意整理には、債務総額が多い場合、完済までに時間がかかり負担が多すぎるというディメリットが、自己破産には、破産決定後免責確定までは、会社の取締役就任や保険外交員や警備員等一部の職業に従事できなくなるなどの不利益があります。

そこで、この両者のディメリットを埋める形でできたのが個人再生手続です。この手続では、2年分の可処分所得を3年かけて支払えば、残りは免責されます。これにより、破産に強い心理的抵抗がある人や上記の資格制限に抵触する職業に就いている人が、破産を避けつつ支払可能な額のみを返済することにより経済的に再生ができるわけです。

この個人再生で、特に注目されているのが住宅資金貸付債権に関する特則です。破産であれば、当然、自宅も失わざるを得なかったわけですが、この特則により自宅を失うことなく、無担保の債務を減額できる道が開かれました。新制度発足時にこの点を強調するマスコミ報道が随分見られました。しかし、一般にいわれているほどこの制度が利用しやすいものではないことに注意する必要があります。?最終弁済の時点での年齢が70歳まででなくてはならない、?住宅ローンについては減額がない(通常は約年14%の遅延損害金も原則として全額支払わなくてはならない)、?住宅ローン以外には適用がない、つまり自宅に住宅ローン以外の債権の抵当権が設定されている場合には使えない、という点が挙げられます。

このように、簡単には自宅を保持したままの再生はできません。大切なことは、(当たり前のことで恐縮ですが)無理のないローンを組むこと、ローンの返済が困難となった場合には消費者金融などのノンバンクを利用する前に銀行に相談に行き返済計画を見直す努力をすること、親族等に相談をすること、といった手段を尽くすことだと思います。

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