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公団値下げ販売事件訴訟について
小栗 夏生(2001年記)

1997年8月、それまでいくら売れ残っていても値下げ・値引きに応じてこなかった住宅都市整備公団(現 都市基盤整備公団)が、一斉に値下げ販売を始めました。この値下げ販売は全体で平均19.3パーセント、金額にして995万2000円でした。

この公団の措置に対し、それまで購入した人たちの多くが公団に対し抗議をしたというニュースを記憶されている人も多いでしょう。
 この件に対しては「バブルの崩壊により誰もが損をしている。それについて不満を言うのはおかしい。」という意見を持つ人もいたようです。しかし、この意見は、本件の事案を誤解したものといえます。

というのも、この値下げ販売に対して抗議をしている人たちは、一番古い人でも1995年8月に購入した人なのです。バブル経済の崩壊は1992年頃なのですから、既にバブル経済の崩壊など十分にわかっていた後の契約について問題となっているのです。
 購入者の多くは、このように既にバブル経済が崩壊しマンションの価格が下落していたのを知っていたので、公団の販売担当者に対し「値引きはできないのか。今後値下げすることはないか。」と尋ねました。それに対する、担当者の回答は一律に「公団は原価を基準として価格を設定しているので値引きはできない。値下げについては将来についてもしない。」というものでした。

住都公団とは国によって設立され、「国民生活の安定と福祉の増進に寄与すること」(公団法1条)を目的として設立された法人です。「その公団が、まさかウソをつくはずもない、公団が設定した値段であるから適正なものに違いがない」そう信じたのは、当時公団団地を購入した人たちだけでなく、国民の多くがもっていた感想だったはずです。

しかし、これは幻想だったのです。公団は分譲価格調整金という名目で3000億円以上の利益を留保していまいた。公団というブランドを利用して、その本来の目的である国民の福祉を考えることなく金儲けに走っていたのです。その結果が、大量の売れ残り、そして今回の値下げ販売だったのです。

このことに気づいた住民が、値下げ販売時に、その経緯の説明を求めましたが、公団は自分たちの客である住民に対し説明をすることを拒否し続けました。

このような経緯を経て、住民たちは公団が自発的に説明責任を果たすことを期待できないとわかり、訴訟に及んだのです。

この訴訟では、公団が当初の分譲価格をどのようにして定めたのか、そして値下げ販売をどういう経緯で決定したのか、等を問うています。しかし、訴訟になっても公団は事実を全く開示しようとしません。現在、訴訟は終盤にさしかかっていますが、最後までねばり強く公団の姿勢を糺して行こうと思っています。

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